恵比寿 会計士事務所   恵比寿にある久都内公認会計士事務所        
           
       
     
     


 

        2020年度の税制改正の主なポイントについて記載させていただきます。


  [1]個人所得税

  (1)未婚のひとり親に対する税制上の措置等

   ① 今回の改正で婚姻の有無は関係なく未婚のひとり親も寡婦(夫)控除の対象になります。

   ② 寡婦控除と寡夫控除で控除額に違いがありましたが、その差は改正で解消されることになります。

   ③ 所得500万円超の場合は控除がなくなります。
 
   ④ 改正後の寡婦控除
 
   合計所得500万円以下の場合に限られます
   
   ( )内は個人住民税の控除額
    死別 離婚 未婚
扶養控除 35万円(30万円) 35万円(30万円) 35万円(30万円)
子以外 27万円(26万円) 27万円(26万円)
なし 27万円(26万円)

   ⑤改正後の寡夫控除

   合計所得500万円以下の場合に限られます

   ( )内は個人住民税の控除額
    死別 離婚 未婚
扶養控除 35万円(30万円) 35万円(30万円) 35万円(30万円)
子以外
なし

   ⑥ 適用時期
   令和2年以後の所得税について適用されます。

   ⑦ 実務上留意すべき点
   35万円の控除は、その者と生計を一にする子(総所得金額等の合計額が48万円以下であるものに限る)を
   有する寡婦、寡夫である場合に限定されていることに留意する必要があります。

  (2) 国外居住親族に係る扶養控除等
    平成27年度改正において、確定申告書等に納税者の親族であることを確認できる書類(出生証明書等)と
    納税者が親族の生活費等に充てるために支払ったことを確認できる書類(送金依頼書、クレジットカード
    利用明細等)の添付等が義務付けられました。
     今回の改正では更に扶養控除の対象となる国外居住親族の範囲について一定の制限が加えられることに
    なりました。

   ① その親族の年齢が30歳以上70歳未満であるものであって、次のいずれにも該当しない者は除外されます。
     A. 留学により非居住者となった者
     B. 障害者
     C. その居住者からその年における生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者

   ② ①のAに該当することを明らかにする書類として次の書類を居住者は源泉徴収、年末調整又は確定申告の
     際に提出又は提示しなければなりません。
     ⇒外国政府又は外国の地方公共団体が発行した留学の在留資格に相当する資格をもって在留する者で
     あることを証する書類

   ③ ①のCに該当することを明らかにする書類として次の書類を居住者は源泉徴収、年末調整又は確定申告の
     際に提出又は提示しなければなりません。
     ⇒現行の送金関係書類(送金依頼書、クレジットカード利用明細書等)でその送金額等が38万円以上で
     あることを明らかにする書類

   ④ 適用時期
     令和5年分以後の所得税について適用されます。

   ⑤ 実務上留意すべき点
     国外居住親族について障害者控除の適用を受ける場合は、障害の状態や障害の程度(障害の等級)など
     の障害者に該当する事実を明らかにする必要があります。

  (3) 国外中古建物の賃貸を通じた節税策封じ
     個人が、国外中古建物から生ずる不動産所得がある場合で損失の金額があるときは、その国外不動産所
     得の損失の金額のうち、国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は なかったものとみなされます。

   ① 中古資産の耐用年数の決定で見積法で使用可能期間の年数が適切であることを証する一定の書類の添付が
    ある場合についてはこの改正の対象外となります。

   ② この改正によって償却費に相当する部分がなかったものとみなされた場合は、該当国外中古建物を譲渡し
    た場合における譲渡所得の金額の計算上、その取得費から控除することとされる償却費の額の累計額か
    らは、なかったものとみなされた償却費に相当する部分の金額が除かれます。

   ③ 適用時期
    令和3年分以後の所得税について適用されます。

   ④ 実務上留意すべき点
    この改正は所得税に係るもので、法人税には適用されません。


  [2] 土地・住宅税制

  (1) 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除の創設
     個人が、都市計画区域内にある低未利用土地又はその上に存する権利であることについて市区町村の長
     の確認がされたもので、その年の1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡(その個人の配偶
     者その他のその個人と一定の特別の関係がある者に対してするもの及びその上にある建物等を含めた譲
     渡の対価の額として一定の額が500万円を超えるものを除く)を土地基本法等の一部を改正する法律
     (仮称)の施行の日又は令和2年7月1日のいずれか遅い日から令和4年12月31日までの間にした場合
     (譲渡後の低未利用土地等の利用についての市区町村の長の確認がされた場合に限る)には、その年中
     の低未利用土地等の譲渡に係る長期譲渡所得の金額から100万円(当該長期譲渡所得の金額が100万円
     に満たない場合には、当該長期譲渡所得の金額)を控除することができます。

   ① 対象となる土地
     A. 都市計画区域内にある低未利用土地
     B. 都市計画区域内にある低未利用土地の上に認められる権利(借地権、地上権など)
     C. 都市計画区域内にある低未利用土地又はその上に存する権利であることについての市区町村の長の
       確認がされたもの

   ② 対象となる譲渡の条件
     A. 譲渡年1月1日において所有期間が5年を超える土地の譲渡
     B. 売主の配偶者、売主と一定の特別の関係がある者に対する譲渡を除く
     C. 譲渡価額が500万円以下
     D. 譲渡後の低未利用土地等の利用についての市区町村の長の確認がされた場合に限る

   ③ 特別控除
     A. その年の前年又は前々年においてこの特別控除をしていないことが前提となります。
     B. 長期譲渡所得の金額=売却価額-(取得費用+譲渡費用)
     C. 課税長期譲渡所得の金額=長期譲渡所得の金額-特別控除100万円(長期譲渡所得の金額が100万円
      未満であればその金額)

   ④ 適用時期
     土地基本法等の一部を改正する法律(仮称)の施行の日又は令和2年7月1日のいずれか遅い日から令和
     4年12月31日までの間

  (2) 配偶者居住権の消滅に係る取扱い
    民法が改正され、残された配偶者がそれまで住んでいた家に、終身もしくは一定期間住み続けることがで
    きる権利として配偶者居住権、配偶者短期居住権が認められることになりました。
    これらについては対価を受け取ることで権利を消滅させることはできます。例えば配偶者居住権を得た後
    で、より利便性の優れた賃貸物件を見つけてそこに移ろうとする場合などです。その場合に受け取った対
    価について、どのように課税されるかが明らかになっていませんでしたが、今回の改正で譲渡所得として
    課税されることが明示されました。

   ① 配偶者居住権…亡くなった人の配偶者が、それまで住んでいた家に住み続けることができる権利
   ② 配偶者短期居住権…亡くなった人の配偶者が、それまで住んでいた家に短期間(6ヵ月)住み続けること
     ができる権利
   ③ 譲渡所得の算定方法
     対価の金額-{居住建物等の取得費用×(配偶者居住権の額+配偶者敷地所有権の額)/居住建物等価
     額-配偶者居住権&配偶者敷地所有権が消滅の日までに減価した額}


  [3] 法人税

  (1)グループ通算制度の新設
     従来の連結納税制度が廃止され、新たに創設されるグループ通算制度に移行することになりました。
     グループ通算制度の税務上の最大のメリットは、グループ内で利益が出ている会社と損失が出ている
     会社がある場合に、利益と損失を合算して税額計算することで税金を減らせることです。

   ① 企業グループ(親会社と子会社)の税金を一括して計算・申告する「連結納税制度」が、会社ごとに
     (親会社、子会社が別々に)税金の計算、申告を行なう「グループ通算制度」に変更されます。

   ② 企業グループに赤字の会社がある場合は、赤字を黒字の会社に配分して(黒字の額に応じて配分)
     各社の税金を計算する。
     ⇒会社の所得額の比率を基準にして欠損金を配分

   ③ 企業グループ内の会社が申告内容を修正した場合は、その会社のみ修正に留まり、他の会社へは影響
     しない。

   ④ グループ通算制度を始めるタイミングで親会社に繰越欠損金がある場合は、親会社の黒字からしか差
     し引くことができず、子会社の黒字からは差し引くことができない。

   ⑤ 企業グループに大法人が1つでもあると、中小企業の特例が使えない。

   ⑥ グループ通算制度を使う場合、企業グループ内のすべての会社はe-Taxでの申告が必須に。

   ⑦ 適用時期
     令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

  (2) オープンイノベーション促進税制の創設

     会社やベンチャーキャピタルが一定の条件を満たす創業10年未満のベンチャー企業に対して1億円
     以上(中小企業の場合は1,000万円以上)の出資を行なう場合に、出資の25%を所得控除できるよう
     になります。
     法人税、住民税、法人住民税についても同様の所得控除が認められます。
     ⇒この出資は「特定株式」と呼ばれますが、これは「設立後10年未満」「特定事業を行なう」などの
     ベンチャー企業の要件を満たしていることを経済産業大臣が証明した会社が発行する株式

   ① 出資する会社の条件
     A. 国内の事業会社又は国内のベンチャーキャピタル
     B. 特定事業活動を行なう
     (注)特定事業活動…自社にはない経営資源を活用して行なう高い生産性が見込まれる事業又は自社
     にはない経営資源を活用して行なう新たな事業

   ② 出資の条件
      A. 1株当たり1億円以上の出資(中小企業は1,000万円以上)
      B. 第三者割当増資の様に、出資先のベンチャー企業に新たな資金が供給される出資

   ③ 出資を受ける会社の条件
      A. 設立後10年未満の未上場の会社
      B. 特定事業活動に役立つ事業を行なう
      C. 大規模企業グループに属していない

   ④ 適用期間
      令和2年4月1日から令和4年3月31日まで

  (3) 5G投資促進税制の創設
    第5世代移動通信システム(いわゆる5G)が2020年から導入されますが、5Gサービスの提供に必要な設
    備を整備した事業者に対して税制優遇措置がとられます。
    5Gサービスは、従来とは比較にならないほどの膨大なデータを高速で送受信することを可能にするサービ
    スで、これからの情報通信の根幹となるものです。

   ① 5Gサービスの提供に必要な設備を導入した場合、「資産の取得価額×30%」の特別償却と「資産の取得
    価額×15%」の税額控除との選択適用ができます。ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税
    額の20%が上限となります。

   ② 5Gサービスの提供に必要な設備を導入した場合、固定資産税の税額計算において、最初の3年間に限っ
    て資産の課税標準を2分の1にできます。

   ③ 対象資産は認定導入計画に記載された資産で「早期普及」「供給の安定性の確保」など一定の基準を満
    たすことを主務大臣の確認を受けたものです。 

   ④ 適用期間
     「特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)」の施行の日から令和4年3月31日
     までの間に特定高速情報通信用認定等設備の取得等をして、国内にある事業の用に供した場合

  (4) 子会社配当と株式譲渡損を利用した節税策封じ

    法人が一定の子会社から受ける配当等の額がその子会社の株式等の帳簿価額の10%相当額を超える場合
    には、その配当等の額のうち益金不算入相当額をその株式等の帳簿価額から引き下げることとなりました。
     これは、某通信大手会社が子会社から多額の配当金を吸い上げてこれを益金不算入とする一方、配当
    金を吐き出して純資産が下がった子会社の株式をグループ内のファンドに譲渡して譲渡損を損金算入して
    いたところ、その譲渡損を国税当局が否認できなかったことが端緒になった改正といわれます。
     この改正は令和2年4月1日以後開始事業年度から適用されます。


  [4] 消費税

  (1) 消費税の申告期限の延長制度の創設

   ① 消費税の確定申告書の提出期限が1ヵ月延長可能となりました。

   ② 消費税の申告期限は、事業年度終了2ヵ月以内とされていますが、経理負担緩和の観点から1ヵ月延長で
    きるようになります。

   ③ ただし、法人税の申告期限延長の特例を受けていることが条件で、消費税の申告期限だけを延長するこ
    とはできません。

   ④ 適用時期
    令和3年3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用されます。

  (2)居住用賃貸建物の仕入税額控除に係る節税策封じ
     居住用賃貸建物に係る課税仕入れの仕入税額控除は原則として認められないこととなりました。

   ① 例えば、賃貸用にマンションを1棟購入した場合、多額の消費税を支払うことになりますが、極めて小
    さい売上(自動販売機の売上など)から差し引くことで、支払ったほとんどの消費税の還付を受けるこ
    とが以前可能でした。

   ② この様な方法については2016年の税制改正でかなり難しくなりました。

   ③ しかし金の売買等を通じて課税売上割合を高くコントロールすることで仕入税額控除の適用を受けて消
    費税の還付を受け、その後の取戻し課税を回避する節税策が行なわれていました。

   ④ そこで今回の改正ではさらに規制を強化し、居住用賃貸建物(賃貸住宅)の取得の際に発生する消費税
    については仕入税額控除を利用できなくすることで、居住用賃貸建物からは一切の還付を受けられなく
    なりました。

   ⑤ なお、購入から3年以内に居住用貸付以外の目的(事業用の貸付など)で利用・売却した場合は還付を
    受けられます。

   ⑥ 適用時期
    令和2年10月1日以後に行う居住用賃貸建物の仕入れについて適用されます。


  [5] 請求書等の電子化について

   請求書等を紙ではなく、電子データで直接やりとりすることが増えていることによって改正が行なわれま
   した。

  (1) 現行制度上は、電子的に受信した請求書等データを電子的に保存するためには次の2要件が必要です。

   ① データの受領後に遅滞なくタイムスタンプを付すこと

   ② 改ざん防止等の為の事務処理規定を作成し運用すること
    要件を満たさない場合は、請求書等データを書面等に出力して保存しておくことが必要となります。

  (2) クラウド上の請求書等データの場合

    昨今ではクラウド上に請求書等データを保管し、請求書等の発行者とその受領者がクラウド上のデータを
    授受するサービスがありますが、この場合も上記要件を満たすことが必要となります。
    ただこの場合特段のデータ改ざん防止措置をとらなくても、クラウドサービスを提供する業者が管理する
    データを発行者と受領者が参照するため、基本的に両者によるデータの改ざんはできないといえます。
    よって、こうしたサービスでは上記要件を満たさなくてもそのまま電子的な保存を認めて差し支えないと
    みられます。この場合、例えばクラウドの業者が改ざんされていない適正データであることを証すること
    等が考えられるようです。

  (3) 次の様な税法改正が行なわれ、令和2年10月1日から適用されます。

    従来の要件はそのまま生きますが、その他電磁的記録の保存方法の範囲に次の2類型が加えられます。

   ① 発行者のタイムスタンプの付与がある場合(従ってこの場合受領者側のタイムスタンプの付与は不要です)

   ② 受領者がデータを改変出来ないシステムを利用(この場合も受領者側のタイムスタンプの付与は不要です)
    …電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム
    (訂正又は削除を行うことができないシステムを含みます)


 Ⅱ 最後に税務関連のコロナ対応について記載させていただきます。

  (1) 申告期限の延長

   ① 申告所得税・贈与税・個人の消費税
     A. 新型コロナウイルス感染症の影響により、期限内に申告することが困難な場合は、申告書作成等が
     可能となった時点で申告することが認められます。振替納税の振替日は税務署から個別に連絡されます。

    B. 申告以外の各種申請や届出など申告以外の手続きについても新型コロナウイルス感染症の影響により、
     提出が困難な場合は個別に期限延長の取扱いがされます。

    C. 別途、延長申請書等を提出していただく必要はなく申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・
     納付期限延長申請」旨を付記されれば足ります。

    D. この場合、申告期限及び納付期限は原則として申告書の提出日となります。

   ② 相続税

     A. 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて申告・納付期限までに申告・納付が困難な場合には個別
      に申告・納付期限の延長が認められます。

     B. 個別の申請により申告期限等が延長されるのは申請を行った方のみとなり、他の相続人等の申告期
      限等は延長されませんので留意が必要です。

     C. 申告・納付ができないやむを得ない理由がやんだ日から2ヵ月以内の日を指定して申告・納付期限が
      延長されることになります。

     D. 相続税に係る各種申請や届出など申告以外の手続についても、新型コロナウイルス感染症の影響に
      より提出が困難な場合は、個別に期限延長されます。

     E. 別途、延長申請書等を提出していただく必要はなく申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・
      納付期限延長申請」旨を付記されれば足ります。

   ③ 法人税・法人消費税・源泉所得税

     A. 新型コロナウイルス感染症の影響により期限内に申告することが困難な場合には個別には、個別に
      申告期限延長が認められます。

     B. 延長申請書を提出する必要はなく、法人税や消費税の申告書の余白に「新型コロナウイルスによる
      申告・納付期限延長申請」、源泉所得税については所得税徴収高計算書の摘要欄に「新型コロナ
      ウイルスによる納付期限延長申請」と付記されれば足ります。

   ④ 法人地方税
    法人税の申告期限の延長を受けた場合、期限延長について法人事業税と法人住民税で対応が異なる点に
    留意が必要です。

     A. 法人事業税については期限内申告ができない納税者からの申請書等の提出が必要です。

     B. 法人住民税については法人税が延長されれば法人住民税も同様に延長されることから別途申請は
      不要です。ただし、ある一定の書類の提出を要請している自治体もあるため、注意が必要です。

     C. 延長期間に係る延滞金は、法人事業税、法人住民税いずれについても課されません。

   ⑤ 事業所税

     事業所税について新型コロナウイルス感染症の影響により期限内に申告することが困難な場合について
     の申告期限の延長の扱いは次の通りです。

     A. 自治体から公示等で延長がない限り、納税者から別途延長申請が必要です。

  (2) 減収中小事業者等に対する固定資産税等の減免

    新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の措置に起因して厳しい経営環境に直面している中小事業者
    等に対して、その所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税について令和3年
    度課税の1年分に限り、次のような措置が講じられることになりました。

    A. 令和3年1月31日までに認定経営革新等支援機関等によって会計帳簿等で売上高減少要件を満たして
    いるかを確認してもらって認定を受けて特例の適用がある旨の申告が各市町村にされた場合に限り適用
    されます。

    B. 令和2年2月から同年10月までの間の任意の3ヵ月(以下「基準期間」といいます。)の売上高(全て
    の事業の売上高の総額をいいます。以下同じ。)が、前年の同一期間の売上高より50%以上減少した
    中小事業者等については令和3年1月1日を賦課期日とする同年分の償却資産税、固定資産税及び
    都市計画税の課税標準の価格が零とされます。

    C. 基準期間の売上高が前年の同一期間の売上高より3割以上減少した中小事業者等(B該当の中小事業
    者等を除きます。)については、令和3年1月1日を賦課期日とする同年分の償却資産税及び都市計画税
    の課税標準の価格が50%に軽減されます。

    (注)上記の「中小事業者等」とは次の法人又は個人
    (性風俗関連特殊営業を営む者を除きます。)をいいます。

    A. 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(ただし、発行済株式の総数の2分の1以上が同一の
    大規模法人により所有されている法人等は除きます。)

    B. 資本又は出資を有しない法人の場合、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

    C. 常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人

  (3) 中小企業等に対するテレワーク等の為の設備投資減税テレワーク等の為に設備投資を行う
    中小企業者等を支援する観点から、中小企業経営強化税制の改正が行われ、デジタル化設備に係る投資
    減税が追加されることになりました。

    A. 現行の中小企業経営強化税制の概要
    この制度は青色申告者(個人事業者又は法人)である中小企業等経営強化法の認定を受けた中小企業者
    等が指定期間(平成29年4月1日から令和3年3月31日までの期間)内に経営力向上計画に記載された新
    品の特定経営力向上設備等の取得等をして、これを国内のその中小企業者等の営む指定事業の用に供
    した場合には、その特定経営力向上設備等につき即時償却と取得価額の10%相当額(資本金の額等が
    3,000万円超の法人などにあっては7%相当額)の税額控除との選択適用ができるというものです。
    ただし、税額控除についてはその年の事業所得に係る所得税額の20%又はその事業年度の法人税額の
    20%が上限とされます。

    B. 改正の内容
    この制度の適用対象設備等である「特定経営力向上設備等」の範囲に遠隔操作、可視化又は自動制御化
    に係る要件を満たすことにつき経済産業大臣の認定を受けた投資計画に記載されたデジタル化設備(機
    械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウェア)が加えられることになりました。
    具体的にはテレワークの利用拡大に必要な機器、テレビ会議用の機器、テレワークの運用の為のソフト
    ウェアなどが新たに追加される設備等として想定されているものと考えられます。

    C. 適用時期
    上記の改正は、指定期間内に新たな類型の投資計画について経済産業大臣の認定を受けるための制度、
    手続等に関する関係法令等の整備を経て実行されることになります。

  (4) 新型コロナウイルス感染症による収入減に対応する賃料減免
   新型コロナウイルス感染症の影響で賃料の支払いが困難となった取引先に対し、不動産を賃貸する所有者
   が今回の感染症の流行が終息するまでの期間に限って賃料の減額に応じるケースでの税務上の取扱いは次
   の通りです。

   ① 覚書の例示

                        覚 書

    [不動産所有者等名](以下「甲」という。)と[取引先名](以下「乙」という。)は、甲乙間で
    締結した○○年○月○日付「建物賃貸借契約書」(以下「原契約」という。)及び原契約に関する
    締結済みの覚書(以下「原契約等」という。)に関し、乙が新型コロナウイルス感染症の流行に伴い
    収入が減少していること等に鑑み、甲が乙を支援する目的において、以下の通り合意した。

    第1条 原契約第△状に定める賃料を令和2年×月×日より令和2年▲月▲日までの間について、
    月額□□円とする。

    第2条 本覚書に定め無き事項については、原契約書等の定めによるものとする。

    令和2年◇月◇日

   ② 法人税の取扱い
    一定の条件を満たす場合等は、その免除の額は寄附金に該当せず損金算入できます。

   ③ 消費税の取扱い
    覚書に記載された金額に基づき課税標準及び税額の計算をすることになります。

  (5) コロナにおける役員給与の減額・増額

   ① 新型コロナウイルス感染症の影響で業績が急激に悪化し、資金繰りが困難なことにより役員給与を減額
    した場合は税務上認められます。

   ② その後売上等が戻ってきただけの理由で役員給与を戻した場合は、増加差額は税務上損金に算入できま
    せん。

   ③ 売上等が戻ってきただけでなく、その役員の職務内容の重大な変更等あれば税務上認められます。

   ④ 役員が新型コロナウイルスに感染・入院したことから、当初予定されていた職務の執行が一部できない
    こととなった場合に役員給与の額を減額することは税務上認められます。又退院し従前と同様の職務の
    執行が可能となった場合に、入院前の給与と同額の給与を支給することとする改定も税務上認められます。

  (6) 新型コロナウイルス感染症に関連する見舞金等

   ① 新型コロナウイルス感染症に関連して使用人等が使用者から支給を受ける見舞金については給与等に
    該当せず、源泉徴収は不要となります。

   ② 個人事業者が売上の一部を医療機関に寄附する場合、事前に寄附先や対象商品などを広く一般に周知
    等しているのであれば、事業所得の計算上、必要経費に算入できます。

  (7) 納税猶予の特例
   ほぼすべての税について、次の2つの要件のいずれも満たす場合に令和2年2月1日から令和3年1月31日
   までに納期限が到来するものについて納税が1年間猶予されます。
   担保不要で延滞税も免除されます。

   要件

   ① 新型コロナウイルス感染症の影響により令和2年2月以降の任意の期間(1ヵ月以上)において、法人
    の売上高(又は個人の収入)が前年同期に比べておおむね20%以上減少していること

   ② 一時に納税を行うことが困難であること
    納税猶予の特例の適用を受けるためには、所轄税務署への申請が必要です。すでに納期限が過ぎてい
    る未納の国税でも令和2年6月30日までであれば、遡って申請することができます。
    6月30日より後に納期限が到来する場合はその期限までに申請が必要です。

   社会保険料についても同様の取扱いが可能です。

  (8) 主な助成金の課税関係

   ① 売上が大幅に減少した個人事業主等に給付される「持続化給付金」や休業要請に応じた個人事業主等
    に支給される「感染拡大防止協力金」更に「雇用調整助成金」は課税対象となります。

   ② 地方国から国民全員に一律で支給される「特別定額給付金」や「子育て世帯への臨時特別給付金」は
    非課税です。

  (9) マスク等購入費用の損金算入時期

    マスクや消毒剤などといった消耗品の購入費用は、その消耗品を使用(消費)した事業年度で損金算入
    することが原則的な取扱いです。従って原則は事業年度末時点の未使用分の損金算入は認められず、
    在庫計上することとなります。
    しかし、原則的な取扱いとは異なり、企業が新型コロナウイルス感染症の感染を防止等する為に購入
    したマスクや消毒剤の費用は、災害に備えて購入した非常用食料品の費用と同様に未使用分(備蓄分)
    の費用を含めて、購入時に一括で損金算入して問題ありません。

  (10) 取引先への支援
    新型コロナウイルス感染症により資金繰りが困難となった取引先に対する支援についての取扱いは次の
    通りです。

   ① 売掛債権等の免除等

    売掛金、未収請負金、貸付金その他債権の全部又は一部を免除したことによる損失の額は寄附金の額に
    該当しません。又交際費等にも該当しません。従前の取引条件を変更する場合も同様とします。

   ② 低利又は無利息による融資
    取引先に対し低利又は無利息による融資をした場合は、当該融資は正常な取引条件に従って行われたも
    のとされます。

   ③ 見舞金
    取引先に対して行った見舞金の支出又は事業用資産の供与若しくは役務の提供のために要した費用は、
    交際費等に該当しません。

   ④ 下請企業の従業員等の為に支出する費用
    下請企業の従業員等に対し事故の従業員等に準じて見舞金品を支出するための費用は交際費等に該当
    しません。

   ⑤ 上記は新型インフルエンザ等により資金繰りが困難となった取引先に対する支援も同様に取り扱われます。

  (11) テレワーク時の税務調査対応

     企業がテレワークを導入しており基本的に担当者が不在となっているような場合では、出社日も限ら
    れ調査時に用意する書類の準備にも時間がかかることが考えられます。このため税務署は企業及び立ち
    会う税理士の都合などに配慮して調査日時を調整するとされています。
     少なくとも当面の間は調査対応の為だけに出社を求められるといったことは想定されていません。
    今後の検討課題、課題の一つとしてオンライン税務調査が浮上する可能性はありますが今後すぐに
    オンライン税務調査が導入されることはなく、現時点ではマスク着用等の感染拡大防止策をとった上
    で従前どおり対面での税務調査が行われます。

    以上2020年度税制改正の主なポイントにつきまして記載させていただきました。
    又新型コロナウイルス感染症の税務関連の取り扱いについて現時点公表されている内容についても記載
    させていただきました。

    ご参考にしていただければ幸いに存じます。